鶴田法男(つるた・のりお、Norio Tsuruta)プロフィール

1960年生まれ。

ビデオ映画「ほんとにあった怖い話(ほん怖)」(1991~1992年)3部作を生み出した。後の『リング』(1998年)や『呪怨』(2000年)などに影響を与えた。 Jホラーのルーツの1つとなった。「Jホラーの父」と呼ばれるようになった。

代表作に「リング0~バースデイ~」「予言」「おろち」「王様ゲーム」「POV~呪われたフィルム~」など。

ビデオ映画「ほんとにあった怖い話」

ビデオ映画「ほんとにあった怖い話」(1991~1992年)3部作は、実話怪談のオムニバスドラマである。小学3年生の時に見た幽霊を再現しようとした。

大学卒業後、ある会社のビデオ販売部門で働いていた。「これからは海外の作品を売るだけでなく、自前で作る時代になる」。そう主張したが、通らなかった。「自分で撮るしかない」と会社を辞めた。制作会社を見つけ、ようやく実現した企画だった。

3部作の1本目では独特の恐怖表現がスタッフにも理解されなかった。だが、2本目では何とか思い通りの演出をすることが出来た。売り上げも好調で、監督の依頼も次々と来た。

しかし、そのあと引退し、会社員になった。

Jホラーブーム

1998年1月、映画「リング」が大ヒットし、Jホラーのブームが起きた。

「リング」の脚本家・高橋洋氏や、「CURE」の黒沢清監督ら、ブームの担い手たちが恐怖演出で影響を受けた作品として口々に挙げたのが、鶴田監督の作品だった。

1999年、監督に復帰した。「ほんとにあった怖い話」はフジテレビでドラマになった。

2015年から、児童向けホラー小説「恐怖コレクター」(角川つばさ文庫)シリーズを手がけた。々と現実となる都市伝説を追って、謎の少年が町から町へ渡る。

中国で監督した『戦慄のリンク』(2020年)が7月15日から東京・新宿シネマカリテで公開された。

若手映像クリエーターの登竜門「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」についてのコメント

(埼玉新聞2022年7月2日付より)

「あまたある映画祭の中でSKIPシティ国際Dシネマ映画祭はレベルの高い映画祭の一つ。選出され、上映されること自体素晴らしい。この映画祭で注目を集めて、第1線で活躍する監督もたくさんいます。

メッセージ性の強い映画が集まっているのも特徴ですね。中東やアジア圏など日本ではあまり見られない作品に、その国に暮らす人々の生活の今や暗部のようなものが濃密に描かれている。ネット動画で世界の情報は簡単に得られる時代ですが、1時間半や2時間の凝縮された中に描かれた世界や価値観を深く濃く知ることができるのが映画。芸術的行為の崇高なパフォーマンスが映画なんです。

国際Dシネマ映画祭の歴代作品で、片山慎三監督の『岬の兄妹』(2018年)や芳賀俊・鈴木祥監督の『おろかもの』(2019年)などは強烈だった。見終わった後、『映画ってすごいな』と。『こいつ行けるぞ、世界に出られるぞ』と思えるセンスと知識を兼ね備えた新人監督はたくさんいます。ただ、日本の映画界は資金不足でチャンスに恵まれていません。」